磁気嵐と地震発生の物理的な機構についての考察
2011-09-25 14:49

今日、9/23は、
磁気嵐の経過時間がBグループに属し、最大地震規模がM8超となる可能性のある日です。
私としては、今日が出来るだけ早く過ぎ去って欲しいと思います。
さて、今日は読者の方から、表記についての疑問が寄せられたため、私なりの解釈をお伝え
したいと思います。

磁気嵐の乱れと地震発生に明らかな相関がある事は、既にデータからは見て取れましたが、
果たして、物理的な観点から、どのような機構で地震発生に至るのかについて、思考実験
してみたいと思います。
まず、全世界で発生している地震のエネルギーの総量について考えます。
USGS(アメリカ地質調査所)の統計から、年間に発生する地震規模と平均的な回数の関係は、
大体、以下のようになります。(カッコ内はM毎のエネルギー[J(ジュール)])
M9(2.0*10^18[J]) 0.1回/年:(2.0*10^18)*0.1 = 2.0 *10^17
M8(6.3*10^16[J]) 1回/年 : (6.3*10^16)*1 = 6.3 *10^17
M7(2.0*10^15[J]) 20回/年 : (2.0*10^15)*20 = 0.40 *10^17
M6(6.3*10^13[J]) 200回/年 : (6.3*10^13)*200 = 0.13 *10^17
M5(2.0*10^12[J]) 1,500回/年 : (2.0*10^12)*1,500 = 0.03 *10^17
M4(6.3*10^10[J]) 15,000回/年 : (6.3*10^10)*15,000 = 0.01 *10^17
M3(2.0*10^9[J]) 150,000回/年 : (2.0*10^9)*150,000 = 0.003*10^17
M2(6.3*10^7[J]) 1,500,000回/年 : (6.3*10^7)*1,500,000= 0.001*10^17
全て足すと、全世界で発生している地震のエネルギー総量は、約8.9*10^17[J]/年です。
更に、これが1回の地震に集中して起きたとしてM換算すると、M8.77となりました

これは、私としても意外な結果でした。
なんと、先の東日本大震災M9.0は、全世界で一年間に発生する地震エネルギーを越えるのです

次に、太陽から地球が受けるエネルギーの総量について考えます。
太陽光として地球に届くエネルギーは、大気圏外でWsun=1.37[kW/m2]=1.37*10^3[(J/sec)/m2]ですので、
これに地球の断面積を掛ければ、エネルギーの総量が出ます。(この1.37[kW/m2]は太陽定数と呼びます)
地球の断面積:S=πr^2=π*(6270*10^3[m])^2=1.24*10^14[m2]
したがって、地球が受けるエネルギーの総量:Wsun * S=1.37*10^3*1.24*10^14=1.70*10^17[J/sec]
一年を秒に換算すると、356[days]*24[h]*3600[sec]=3.2*10^7[sec]ですので、
一年間に太陽から受けるエネルギーの総量は、1.70*10^17*3.2*10^7=5.44*10^24[J]/年です。
地震エネルギー総量の約8.9*10^17[J]/年に対して、なんと610万倍という、とてつもない比率。
太陽の持つエネルギーの大きさに、改めて驚きました

では、この太陽から受けるエネルギーは、どこへ行ってしまうのでしょうか

調べてみると、どうやら、ほぼ100%が宇宙に放射して逃げてしまっているようです。
(雲等による反射で28%、赤外線輻射熱として72%)
つまり、入っただけ出ていくだけ。この収支がずれると、地球の温度が一定に保てませんので。
ここで、ほぼ100%と言ったのには、理由があります。
実は、この他に電磁波(磁気嵐)として、日射エネルギーの1/100万が地球を貫通しています。
たったの1/100万ですが、
基数が地震エネルギー総量の610万倍なので、年間地震エネルギーの約6倍のエネルギー
が地球を貫通している事になります。
読者もご存じのように、
地球はN極とS極を持つ巨大な磁石ですが、磁石の近くに電流が流れると電磁力(ローレンツ力)
が働きますが、地球を電磁波が通過すると、この磁界の周りに渦状の電流が局部的に流れるため、
電気コンロにように局所的な熱負荷が発生し、地殻に歪みが生じるものと考えられます。
そう、やっと答えに辿り着きました。
太陽からの電磁波(磁気嵐)は、全世界の地震エネルギー総量1年分の約6倍もの電磁力と熱負荷を
作用させているのです。

どうでしょうか?
読者の皆様には、私の拙い説明で、何となく磁気嵐と地震の関係が物理的に見ても有りそうだ
という事が伝わりましたか?
更に、磁気嵐で発生する電流が流れる場所について、電磁気学により表皮効果を計算すると、
大体の深さが出てきます。
少し専門的になりますが、式で表すと、表皮深さδ[m]=√(2/{ (2πf)*μ*σ }で表されます。
ここに、f:周波数[Hz],μ:誘電率=4π*10^(-7),σ:電気伝導率[S/m]
計算に必要な定数は、既に実測値があり、磁気嵐の周波数成分は0.02~0.006Hz、玄武岩を中心とする
地殻の電気伝導率は実測で0.005~0.02[S/m]であります。
この値を式に入れて計算すると、表皮深さδ=25~92[km]となって、ちょうど震源域の深さ程度になること
が分りました。
----------<以下は、おまけですので、時間のある方は、ご覧下さい>-------------
この他にも、地球の内部の熱源として定説となっているものをご紹介しますと、
・放射性物質の崩壊熱によるもの
63[mW/m2]ですので、地表面積4πr2=4π*(6270*10^3[m])^2=4.94*10^14[m2]と、1年=3.2*10^7[sec]
を掛けると、約10^21[J]/年
・潮汐力の塑性変形によるもの
5.9[mW/m2]ですので、地表面積4πr2=4π*(6270*10^3[m])^2=4.94*10^14[m2]と、1年=3.2*10^7[sec]
を掛けると、約10^20[J]/年
何れも、地震エネルギー総量の約8.9*10^17[J]/年に対して、100~1000倍のエネルギー量です。
特に、潮汐力は時々刻々変化し、地殻に塑性変形という形で作用しますので、私のロジックの基本と
なっておりますが、ここでも地震との相関は間違いではないと考えられます。
ただ、エネルギーのオーダーが私の感覚より意外に大きいことが分りました。
なお、放射性物質の崩壊熱によるエネルギーは、あまりダイナミックな変化は無く、ゆっくりと地殻に
歪みを蓄積させる要素として重要なものと考えます。
蛇足ですが、台風1つの持つ運動エネルギーについて調べたところ、およそ1~2*10^17[J]となって、
地震のエネルギーに換算すると、M8.1~M8.3に相当する事が分かりました。
これも、エネルギーのオーダーが私の感覚より意外に大きいことが分りました。
ただ、台風の場合は、地震エネルギー放出時間が数十秒~数分なのに対し、数日から20日程度なので、
エネルギー密度の観点からすると、1/30万~1/170万となり、M4.0~M4.7程度とも考えられます。
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では、また。

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